この資料は 書体のスライド(PDF、40枚・4up) の補足です。スライドの書体見本を見ながら読み進めてください。以下の説明は、スライド上の断定や分類を補い、一部を訂正します。

1. 太字・斜体ボタンは何をするのか(スライド4・22〜24・32)

太字や斜体のボタンを押すと、対応する書体があればそれに切り替わります。対応する書体がない場合は、ソフトウェアが線を太らせたり傾けたりすることがあります。この機械的な加工では、文字の隙間が潰れたり、形のバランスが変わったりすることがあります。

「このフォント名なら必ず大丈夫」と覚えるより、*正規の太字・斜体があるか、選んだウェイトに対応するものが使われるか、実際に読めるか*を確かめましょう。結果は書体の版や利用ソフトにも依存します。

強調する箇所を絞り、太さ・書体・下線などを重ねすぎないことも大切です。画面提出なら画面で、印刷物なら印刷して確認します。

2. 明朝体とゴシック体は、用途の目安(スライド7〜9・40)

明朝体は小説や新聞の本文、ゴシック体は見出しや看板などでよく使われます。ただし、「長文なら明朝体の方が必ず読みやすい」とは限りません。細めのゴシック体を本文に使うこともあります。読みやすさには文字サイズ、太さ、行間、一行の長さ、画面の解像度なども関係します。

欧文の serif(セリフ体)と sans-serif(サンセリフ体)は分類名です。ArialVerdana のような個別の書体名とは区別します。

3. ウェイトの名前と見た目の太さは別(スライド16)

Light、Regular、Medium、Demibold、Boldなどは、各書体ファミリー内で太さを選ぶための名称です。違うファミリーの「Regular」どうしが、同じ太さに見えるとは限りません。

MS ゴシックとMS 明朝は、スライドの表にあるようなLightからBoldまでのウェイト展開をもつファミリーではありません。MS ゴシックをBold欄、MS 明朝をLight欄に置いた表は、見た目の比較として読み、正式なウェイト名の分類とは解釈しないでください。游明朝DemiboldもMediumと同じ名称ではありません。

4. 画面と印刷で、なぜ印象が違うのか(スライド26〜32)

小さな文字を画面の画素に合わせて描くことと、印刷用に輪郭を描くことでは、見え方が違う場合があります。MS 明朝・MS ゴシックのように、小さな画面表示用のビットマップ字形も収録する書体があります。ただし、どの字形が使われるかはソフトウェア、文字サイズ、画面解像度などによります。

スライドの画面と印刷の比較は、*その環境で得られた例*です。「Windowsでは必ず細くなる」「印刷すると必ず読みにくい」という一般則ではありません。見た目が変わったら、最終的に読む環境で確かめて調整しましょう。

5. ベタ組みを出発点に、必要なところを調整する(スライド33・35・40)

和文本文では、文字を基本となる正方形の枠に配置する*ベタ組み*が出発点になります。ただし、約物の前後、行頭・行末、和文と欧文の間などには、それぞれ組版上の調整があります。「すべての文字を例外なく同じ間隔にする」という意味ではありません。

見出しなどでは、プロポーショナルな字幅や字間調整を使うこともあります。「和文ではプロポーショナルを原則使わない」という禁止事項として覚える必要はありません。

6. 半角・全角と、形の似た別の記号を区別する(スライド39)

種類 文字 Unicodeのコードポイント

ASCIIの引用符

"

U+0022

全角引用符

U+FF02

開き・閉じの曲がった引用符

U+201C・U+201D

ASCIIのチルダ

~

U+007E

全角チルダ

U+FF5E

波ダッシュ

U+301C

スライド39の「全角」欄の “” は、ASCII引用符の単純な全角版ではありません。また、 は波ダッシュであり、全角チルダ とは別の符号位置です。2026年8月のレビュー文書のA-5にも同じ混同があるため、この表で訂正します。

似て見えても別の文字なら、検索やプログラムでは異なるものとして扱われることがあります。一方、同じ文字でも見た目の幅は書体によって変わります。*コードポイントの違いと、見た目の違いを分けて考える*ことが大切です。

7. 出典