アーカイブズ学を学ぶ人のためのテキスト

Records in Contexts 入門

アーカイブズ記述の新しい国際標準を理解する
久保山哲二(学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻/計算機センター)
第1.4.6版(2026年9月6日)・全144ページ・CC BY 4.0
English edition is available here ・英語版はこちら

概要

国際文書館評議会(ICA。国際公文書館会議とも訳されます)の記述専門家グループ EGAD が策定した、 アーカイブズ記述の新しい国際標準 Records in Contexts(RiC)の日本語テキストです。 RiC は、従来の ISAD(G)・ISAAR(CPF)・ISDF・ISDIAH の4標準を統合して置き換えるもので、 概念モデル RiC-CM と、それを OWL で形式化したオントロジー RiC-O からなります。

本書は RiC-FAD 1.0・RiC-CM 1.0・RiC-O 1.1・RiC-AG 0.1 の一次資料(本文、OWL ソース、公式ドキュメント、公式クロスウォーク、サンプルデータ)に基づいて執筆しました。 ISAD(G) の多段階記述から RiC の多次元記述への移行の意味、実体・属性・関係の読み方、 RDF・Turtle・OWL・記述論理・SPARQL の入門、推論の具体例、EAD からの変換とマッピングの手順、 和暦や異体字を含む日本語データの扱い、必要となる技術素養までを一冊で扱います。 アーカイブズ学の初学者、目録実務の担当者、デジタルアーカイブや Linked Open Data の 構築に関わる方を想定しています。

構成

サンプルデータ

本書に出てくる作例を、そのまま実行できるファイルにして配布しています (ric-introduction-ja-examples.zip、約240KB)。 Turtle のデータ4本、本書に出てくる SPARQL 14件、SHACL のシェイプと検査対象データ、 および全体を検査するスクリプトが入っています。データはすべて架空です。

推論と検査に使う RiC-O 1.1 の RDF と CSV 一覧も同梱してあるので、展開すればそれだけで 動きます。pip install rdflib pyshacl owlrl のあと python3 check.py を実行すると、Turtle の構文、語彙名の実在、定義域と値域、問い合わせの返す件数、 SHACL の報告内容が一度に検査されます。同梱の README.md に Apache Jena Fuseki と GraphDB での動かし方も書いてあります。

本書と同じ CC BY 4.0 なので、授業や研修に自由に使えます。

改訂履歴

第1.4版(2026年8月9日)・139ページ
記録管理の工程(保存期間の設定、評価選別、保存期間が満了したときの措置)を扱う節を 第7章に新設し、公文書管理法に当てはめた。日本の共有基盤(ジャパンサーチ、国立公文書館 デジタルアーカイブ)との関係を追加。属性一覧の付録、属性の作例、SHACL の実例を加え、 まえがきに役割別の読み進め方を置いた。 本書の作例をそのまま実行できるサンプルデータを新たに配布する。
第1.3版(2026年8月1日)・120ページ
第4章に実体間の関係を示すダイアグラムと、関係の13の型の一覧を追加。 付録に RiC-CM の全85関係の原文対照表を新設。 第5章の記述論理の節に述語論理の入門を追加。 前提となる技術(ER 図、XML、正規化)の解説を補強。 用語解説と索引を拡充し、訳語と文体を整理した。
第1.2版(2026年7月21日)・105ページ
初期の公開版。

ライセンスと引用

本書はクリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス (CC BY 4.0)で提供します。 出典を表示すれば、複製・再配布・改変・翻訳・授業や出版での利用を自由に行えます。 一次資料である ICA EGAD の RiC 各文書も同じ CC BY 4.0 で公開されています。

久保山哲二『Records in Contexts 入門 --- アーカイブズ記述の新しい国際標準を理解する』
第1.4.6版、2026年、CC BY 4.0。
本書では、主に調査や作図などに大規模言語モデル Claude Fable 5 と Claude Opus 5(Anthropic)を活用しました。 本書は ICA EGAD の一次資料に基づいて作成したものです。 本書の内容に関する文責は久保山哲二にあります。 本文組版は LuaLaTeX(luatexja、原ノ味フォント)によります。